■ダイオキシン
ダイオキシンという言葉を知らない人はいないほどに、私達の中に深く忍び込んできた問題
です。
ダイオキシンは焼却施設により発生すると多くの指摘を受けていますが、それは焼却時に煙
とともに空中に飛散して、大気に混じり、やがて雨と混ざって地上に降り注ぎます。
それらは植物に付着したり、雨水と混じって河川に流れ込みやがては海へと流れ込んでし
まうのです。また、風とともに陸地から海上へと運ばれて海に降下して海水に混ざるものも
多いといわれています。
人体へは90%くらいの確立で魚貝類から取り込まれているそうですが、土や川や海へと浸
透していったダイオキシンは、食物連鎖によって次第に濃度を高めていくことになるのです。
発生源は塩素系プラスチックと考えられていて、これはダイオキシンが炭素系と酸素、水素
そして塩素で作られていることによるそうです。
この代表的な製品は食品のラップ類、農業用ビニール、住宅の壁紙(ビニールクロス)、自動
車のタイヤなどがあります。発生源はゴミの焼却施設になります。
ダイオキシンは1960年アメリカがベトナム戦争で使用した枯葉剤が始まりだそうです。
これは猛毒で、当時奇形児が大勢生まれたことで知られています。
人間にとって発ガン性があり、動物実験でも肝障害、催奇性や受胎率低下が見られていま
す。
ダイオキシンは300〜400℃の低温で、しかも不完全燃焼のときに多く発生するそうです。
800℃以上の高温焼却炉や24時間稼動の設備を持つ焼却炉での発生率は低くなるそうで
す。
1997年に報告された全国の都市ゴミ焼却施設からのダイオキシン排出調査結果では、全
体で1496施設のうち105施設が暫定排出基準の排煙1m3あたり80ngを超えていることが
解った。
これを受けて、政府は1997年12月から実施された法規制で、一般廃棄物焼却施設からの
排煙1m3あたりのダイオキシン量を、新設焼却炉で0.1〜5ngとし、既設焼却炉では1〜10n
gと定めました。
これは、ドイツの基準(0.1ng)の800倍の排出を5年間国が認めたということになるのです。
※ ng(ナノグラム)は10億分の1グラムの単位です。
一般の大気中のダイオキシン濃度は、大都市地域で1.00pg-TEQ/Nm3、中都市地域で0.
07pg-TEQ/Nm3で、中央環境審議会(環境庁)の指針は年平均0.08pg-TEQ/Nm3以下で
す。
pg(ピコグラム)は1兆分の1グラム(ngの1000分の1)。
ちなみにアメリカの都市部では0.077-0.179pg-TEQ/Nm3で、地方部では0.045pg-TEQ/N
m3です。
環境先進国ドイツでは都市部で0.07-0.35pg-TEQ/Nm3で、地方部では0.025-0.07pg-
TEQ/Nm3で、焼却設備の排出基準では0.1ng/Nm3です。
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